特集TERASOLUNAのグローバル展開をレポート

vol.3 グローバル展開状況レポート:現場へのインタビュー(1)
〜東南アジア地域での開発標準化プロジェクトの推進〜

掲載日:2011年10月14日

東南アジア地域へのTERASOLUNAの展開について、開発標準化プロジェクトの立ち上げの経緯から実際の開発現場の感想など、海外 拠点の担当者から生の声をご紹介します。本号では、東南アジア地域の標準化を推進している、 NTT DATA VIETNAM COMPANY LIMITEDの柳川社長へのインタビューを中心にご紹介します。

NTT DATA VIETNAM COMPANY LIMITED 柳川 正宏 取締役社長

取材協力

NTT DATA VIETNAM COMPANY LIMITED
柳川 正宏 取締役社長

その他、本文内でご紹介しているコメントについては文中にて会社名、氏名を記載いたしています。

1.NTT DATA VIETNAM COMPANY LIMITEDについて教えてください。

東南アジア地域では、NTT DATA (Thailand) Co., Ltd. (タイ)、NTT DATA Malaysia Sdn. Bhd.(マレーシア)、NTT DATA VIETNAM COMPANY LIMITED(ベトナム)などのNTTデータの海外グループ会社により、日系企業を中心としたお客様に業務改善コンサル、及びシステム開発を提供しています。

NTT DATA VIETNAM COMPANY LIMITEDは、2008年1月に設立され、今年で4年目の会社となります。現在では、社員数がハノイ本社、ホーチミン支店あわせ約100名に達し、NTTデータグループのグローバル拠点として成長を遂げています。

NTT DATA VIETNAM COMPANY LIMITEDの主な事業内容

  1. 現地日系製造業様、物流業様の業務改善コンサル、及びシステム開発
  2. 日本(本社、国内グループ会社)・アジア拠点向けオフショア開発
  3. NTTデータ本社と連携してのベトナム国内市場への提案活動

大きくは、ハノイ本社がベトナム国内市場向けビジネス中心、ホーチミン支店がオフショア開発中心にビジネスを展開中です。会社の共通語は英語ですが、ホーチミン支店は英語に加えて、日本語での開発も可能な技術者が揃っています。

2.「東南アジア地域の標準化プロジェクト」を立ち上げた経緯を教えてください。

東南アジア地域では、開発のコストやスピードが優先される等、システムへの要求の日本との違いがあります。そのため、プロジェクトマネージャがNTTデータの開発手順をテーラリングし、東南アジア地域の顧客が求めるQCDに合わせた開発に対応してきました。しかし、プロジェクトマネージャが各々にテーラリングするため、プロジェクト毎に設計書フォーマットや開発方法が異なるといった問題も生じていました。

そこで、東南アジア地域のNTTデータグループ会社と、開発手順・開発環境を整備している関連組織と連携することで、東南アジア地域の開発手順の標準化を行う「標準化プロジェクト」を立ち上げました。

3.東南アジア地域の標準にTERASOLUNAを選んだ理由は何ですか?

標準化プロジェクト開始当初は、ゼロベースで考えて行こうという発想の下で検討を始めました。しかし、これまでの東南アジア地域の開発にはTERASOLUNAをテーラリングしたケースが多く、TERASOLUNAが既に開発者にとって馴染みある開発手順となっていました。 そのため、タイやベトナムの、ローカルマネージャやメンバを含めた議論の結果、TERASOLUNAをベースに、東南アジア地域での低コスト・短納期開発に必要最低限なドキュメント、手順、フレームワーク・ツール等を整備することが適するとの結論になりました。

4.東南アジア地域でのTERASOLUNAの展開について教えてください

各国の状況を考慮し、TERASOLUNA SSの適用からハンズオン(教育)など、幅広い展開を図っています。

国名 適用例
ベトナム
日系メーカ販売会社様「出荷指示・在庫管理システム開発」
TERASOLUNA SS・開発環境の適用
マレーシア
日系情報通信会社様「機器情報の管理システム開発」
TERASOLUNA SSの適用
タイ
教育
TERASOLUNAハンズオン研修、TERASOLUNA SS・開発環境の適用
適用案件
TERASOLUNA SS・開発環境の適用

導入検討や適用時の開発現場の状況について、ベトナム、タイの開発リーダからの「TERASOLUNAを適用した感想」を 下に掲載しています!合わせてぜひご覧ください。また、マレーシアの適用事例については、次号にて詳しくご紹介します。

5.TERASOLUNA SSの今後の展望とTERASOLUNAへの要望

TERASOLUNA SSは、NTTデータの開発ノウハウを生かした、小規模短期開発向けの開発手順に仕上がっています。既に、東南アジア地域のシステム開発への適用が進んでおり、今後は東南アジア地域のNTTデータグループ会社にて段階的に全プロジェクトに導入して行く予定です。

NTT DATA VIETNAM COMPANY LIMITEDでは、スクラッチ開発のノウハウを蓄積し、属人的な開発を極小化することで、生産性、品質の向上を目指しています。今後は、東南アジア地域のシステム開発に多い物流関連業務を中心に、パッケージ化、ソリューション化を進めていきたいと考えています。そのため、パッケージ開発を行うために必要な要素をTERASOLUNAに盛り込んでもらいたいと考えています。 また、将来的に、 「SW開発の自動化やパッケージ化・ソリューション化への対応」の他、 「国内グループ会社が国内のお客様向けに提供する短納期、低コスト開発への対応」や、 「海外グループ会社が持っている優れた短納期低コスト開発ソリューションの取り込み・融合等により、NTTデータグループ全体で使い、育てていける短納期・低コスト開発向けソリューションへの昇華」を期待しています。

適用プロジェクトの担当者へのインタビュー

【TERASOLUNAを適用した感想】

NTT DATA VIETNAM COMPANY LIMITED 武井ホーチミン支店マネージャ:
NTT DATA VIETNAM COMPANY LIMITEDのスタッフは中途採用が多く、開発者の開発経験や能力が異なります。そのため、コードの書き方1つとってもバラツキが生じていました。小規模の開発とはいえ、プロジェクトの成功のためには、開発者のバラツキを無くすことが必要と考え、品質の底上げ、成果物の均一化を図るためにTERASOLUNAを採用しました。 また、NTTデータ本社からの支援、ユーティリティ類の提供などのサポート面においても、生産性の向上が期待できました。
NTT DATA VIETNAM COMPANY LIMITED Dong(ドン)マネージャ:
TERASOLUNA SSのドキュメントや手順がシンプルになっているため、適用の際の作業負 荷が少なくすみました。また、定義された成果物やフォーマットに従い作成することでシステム仕様が明確化できるため、品質面の改善に大きく寄与しました。 開発環境の面でも、TERASOLUNAフレームワーク が、ディファクト技術に基づいたフレームワークであるため、Java技術者がStruts、Spring、IBATISの既存知識を生かしスムーズに開発に導入できました。
NTT DATA (Thailand) Co., Ltd.  Kongkij(コンキット)マネージャ:
NTTDATA Thailandでは、当初はTERASOLUNAの名前しか知らないという状況だったため、TERASOLUNAのコンセプトとツールの使い方を習得してもらうための、TERASOLUNAハンズオン研修 を実施しました。
日本の講師による研修は貴重な機会だったため、忙しい中も多くの開発メンバが参加し、熱心に受講しました。 実践型の研修内容のため、開発メンバーは「TERASOLUNA」のコンセプトとツールの使い方を具体的に理解できるようになったと思います。 研修後のアンケートからも受講者の満足度が高く、開発者の期待に応える研修内容だったといえます。 また講師からも、NTTDATA Thailandの受講者はレベルが高く、これまでのクラスで最高の出来とのコメントももらいました。
現在は、TERASOLUNAフレームワーク開発ツール の活用方法がわかったことで、早速プロジェクトへの適用検討を進め、既に3〜4プロジェクトに適用が進んでいます。

目次:「グローバル展開におけるTERASOLUNAの取り組み」